念珠や仏具を取り扱っていると、「値段が有って無いよなもの」と言われることがしばしばあります。男性に多いです。また、それは対照的に、「定価はいくらなんですか?何割引きですか?」と訊かれることもあります。女性に多いです。
手作りたしかに、お買い物をするときに価格というのは重要な項目の一つであることは間違いありません。とにかく気に入ったので金ならいくらでも出す、という場合もないとは言いませんが、大抵の買い物をするときには値段は気になるものです。しかも、損をしたくはありませんので、おなじ物ならより安いお店を選ぶのは当然のことと言えましょう。
数珠業界と言えば「京都数珠製造卸協同組合」が有名で、全国的にこのタグが付いたものを仕入れて売っている小売店も多いでしょう。うちの場合、基本的には自前で仕立てていますが、ほとんど売れる機会がないので材料を揃えるにはロスが多いような特殊な念珠等、状況によっては組合加盟店から完成品を仕入れる場合もあります。しかし、定価は指示されていません。ところが、という売り方をしている業者には疑問を感じます。
umebay.jpお客様目線で、損せずに良い念珠を選ぶのはとても難しいです。たとえば、適当な定価設定をして割引を大きく見せるような売り方はいかがなものかと思いますが、割引後の価格は比較的良心的で、妥当な金額という業者もいます。仏具業界は安すぎると有り難くないという、独特の現象もあって、真面目そうに見えて不適正に高い価格で売っている、いわゆるボッタクリ業者もいます。また、個人の方が買う場合と、お寺を名乗って買う場合と価格が違う業者もいます。お店選びだけでも大変なうえ、石の名前と値段だけを比べても、石自体の質もちがえば加工も違います。その後の仕立て方も、「わからないなりに頑張って考えたのかな?」と思ってしまうようなものまであります。相場がわからなくなり、疑心暗鬼になってしまうのは当然です。